取引先の秘密を守りながらWebサイトに導入事例を書く方法

著者 · 2026年10月25日 · 5分で読めます

機密部分を黒塗りした導入事例の資料、ぼかしを入れたプロジェクト写真、承認マークのイラスト

御社はすでに多くの優れたプロジェクトを手がけてきました。ところが、多くの取引先は社名を出されることを望まず、契約には秘密保持条項があり、営業チームも何を話してよいのか分かりません。その結果、Webサイトの「実績」ページは空のまま、あるいは説明のない写真だけが並んでいます。

しかし導入事例は、B2Bの買い手にとって最も説得力のある裏付けの1つです。幸い、取引先の秘密を明かさずに事例を書くことは可能です。この記事では、その方法を順を追って解説します。

それでも導入事例を書く価値がある理由

見込み客が知りたいのは1つです。自社と似た課題を解決したことがあるかどうか。製品リストではこの問いに答えられませんが、実際のプロジェクトの話なら答えられます。

Googleも同じような点を見ています。有用なコンテンツに関するガイドでは、コンテンツが直接の経験に基づく専門性を明確に示しているかを問いかけています。導入事例は直接の経験を示す最も分かりやすい例であり、実際に手がけたのは御社だけなので、競合が真似することもできません。

最も重要なのは取引先の社名ではありません。どんな課題があり、どう解決し、どんな結果になったかです。

まず、公開してよい範囲を確認する

書き始める前に、次の3点を確認します。

  1. 契約書と秘密保持契約(NDA)。秘密保持と広報に関する条項を読みます。社名の公表を禁じる契約もあれば、プロジェクトへの言及自体を禁じる契約もあります。迷ったら法務担当に相談しましょう。
  2. 取引先の営業秘密にあたる可能性のある情報。インドネシアの2000年法律第30号は、営業秘密を「技術または事業の分野で一般に知られておらず、事業活動に役立つことで経済的価値を持ち、所有者によって秘密として管理されている情報」と定義しています。配合、製造工程、仕入先リスト、価格、発注量などが該当し得ます。取引先から別途許可がない限り、すべて非公開として扱いましょう。
  3. 個人データ。インドネシアの個人データ保護法(2022年法律第27号)では、氏名は個人データに含まれます。個人データの処理には適法な根拠が必要で、その1つが本人の明示的な同意です。取引先の担当者の発言を引用したり、社員の写真を載せたりする場合は、事前に本人の同意を得ましょう。

公開レベルを選ぶ

すべての事例を同じレベルで公開する必要はありません。次の3段階を使い分けられます。

  • 実名公開。書面での許可を得たうえで、社名とロゴを掲載します。最も説得力がありますが、実現できることは多くありません。
  • 特徴で表現。「生産ラインを2本持つタンゲランのプラスチック包装メーカー」のように、一般的な特徴で取引先を示します。読者はイメージできますが、どの会社かは分かりません。
  • 業種のみ。「医薬品の卸売会社」のように業種だけを示します。業界が小さく、詳しく書くと取引先が特定されやすい場合に適しています。

2つ目のレベルには注意が必要です。ある工業団地にその特徴に当てはまる工場が1つしかなければ、社名を出したのと同じことになります。

読みやすい導入事例の構成

  1. 当初の状況。取引先がどんな会社か(選んだ公開レベルで)、どんな課題があったか。
  2. 制約条件。プロジェクトを難しくした期間、予算、技術的な要件。
  3. 実施したこと。主な手順。取引先の秘密にあたる詳細は含めません。
  4. 結果。プロジェクト後に何が変わったか。
  5. 教訓。同じような課題を抱える読者に役立つポイントを1つ。

説明のための架空の書き出し例:「北ジャカルタのある部品販売会社には、毎週数百件の在庫の問い合わせがWhatsAppで届いていました。営業チームは1件ずつの返信に追われていました。解決策は、部品番号で検索できるオンラインカタログを用意し、顧客が問い合わせ前に自分で確認できるようにすることでした。」社名も価格も数量も明かしていませんが、読者はすぐに課題を理解できます。

1件あたりの分量は、1,000〜2,000字程度で十分です。関心を持った買い手は、詳細を聞くために問い合わせてきます。

機密性の高い数字を明かさずに成果を示す

最も説得力のある成果は数字です。ただし、生産量、価格、売上高といった生の数字は、最も機密性が高い情報でもあります。安全な方法をいくつか紹介します。

  • 絶対値ではなく変化率を使う。「受注処理の時間がおよそ半分になった」と書けば、取引先の受注件数は明かされません。
  • 正確な数ではなく範囲を使う。たとえば「500品目以上」など。
  • 目に見える変化を使う。たとえば「営業チームがチャットでカタログを1件ずつ送る必要がなくなった」など。

何よりも、すべての数字は事実であり、取引先の承認を得たものでなければなりません。切り上げや推測は避けましょう。

写真と資料:アップロード前に確認する

プロジェクトの写真は、思った以上に多くの情報を写しています。アップロード前に次の点を確認しましょう。

  • 背景に写り込んだロゴ、社名、看板
  • 人の顔、車両のナンバープレート、データが表示されたパソコン画面
  • 図面、製品ラベル、机の上の書類
  • 写真ファイル内の位置情報。スマートフォンのカメラは撮影場所の座標を保存することがあり、他人がそれを読み取れる場合があります。共有前に位置情報を削除しましょう。

公開前に承認を得る

最後の、そして最も省かれがちなステップは、公開前に原稿を取引先に送ることです。本文全体、使用予定の写真、選んだ公開レベルを添え、書面(メールで十分です)で承認をもらい、きちんと保管しておきます。

最初から関わってもらった取引先が反対することはほとんどありません。自社のプロジェクトがうまく紹介されたことを喜び、次の事例では実名掲載に応じてくれることもあります。

よい導入事例は、課題と解決策を伝えるものです。取引先の社名はおまけであって、必須条件ではありません。

導入事例は、信頼される会社概要ページを備えたサイトでこそ力を発揮します。工場のWebサイトに欠かせないページもあわせてご覧ください。自社で簡単に更新できる実績ページをお考えなら、お気軽にお問い合わせください。